東京都議会 1992-03-19
1992-03-19 平成4年住宅港湾委員会 本文
午後一時五十四分開議
◯大沢委員長 ただいまから
住宅港湾委員会を開会いたします。
本日は、予算の調査及び付託議案の決定等を行います。
初めに、意見書について申し上げます。
さきに理事会にご一任いただきました意見書中、
住宅基本法制定等に関する意見書につきましては、お手元配布の原案のとおり調整いたしました。
案文の朗読は省略いたします。
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住宅基本法制定等に関する意見書(案)
近年、東京における地価高騰の中で、都民の住宅確保は、著しく困難な状況になっており、地価及び建築費の高騰に伴う家賃や分譲価格の上昇により、住み慣れた地域で安心して住み続けることのできない状況を招いている。
そのため、東京都は、都民の住宅に対する切実な要望にこたえて、従来の枠組みを越えた住宅政策の総合的な展開を図っているところである。
しかし、住宅に関する施策の中には、税制上の優遇措置や
公共住宅相互間の役割分担の明確化など、国の権限に属する事項も多く、これらの事項について、国における速やかな法体系の整備が望まれるところである。
よって、東京都議会は、政府に対して、住宅対策の一層の充実を図るため、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 住宅基本法を早急に制定すること。
二
賃貸住宅入居者に対する税制上の
負担軽減措置を図ること。
右地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。
平成四年三月 日
東京都議会議長 小林かんじ
内閣総理大臣┐
│
大蔵大臣 │
│あて
建設大臣 │
│
自治大臣 ┘
─────────────
◯大沢委員長 本件は、
議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承を願います。
━━━━━━━━━━
◯大沢委員長 次に、委員会の日程について申し上げます。
今後の委員会につきましては、お手元配布の日程とすることを理事会で申し合わせましたので、ご了承を願います。
これより予算の調査を行います。
第一号議案、平成四年度東京都
一般会計予算中、歳出、繰越明許費、
債務負担行為、
住宅港湾委員会所管分、第十一号議案、第十六号議案、第十七号議案、第二十一号議案及び第二十四号議案から第二十七号議案までを一括して議題といたします。
本案については、既に質疑を終了いたしております。
これより意見の開陳を行います。
順次発言を願います。
◯山崎委員 私は、
都議会自民党を代表して、当委員会に付託された平成四年度
予算関係議案について、意見の開陳を行います。
まず、
各局共通事項について申し上げます。
今、東京は、世界情勢の激しい変化の中で生じるさまざまな問題に対し、世界都市として貢献し、世界をリードしていくことが期待されています。また、一極集中により生じた住宅、ごみ、交通混雑などの都市問題を解決し、社会情勢の変化に対応した豊かさを実感できる生活都市への早急な取り組みも求められております。
平成四年度予算案は、財政状況が厳しい中、このような時代の変化に的確に対応し、豊かさとゆとりのある都民生活の実現と、世界都市としての東京づくりを目指して、都政が抱える重要課題に積極的に取り組み、しかも行政各分野の問題にもきめ細かく配慮を行った、充実した内容を持つものであります。
今回の予算案の大きな特徴は、
バブル経済崩壊の影響を大きく受け、都税収入が対前年度当初予算比一・九%下回る伸びしか見込めないという三十七年ぶりの極めて厳しい財政状況にもかかわらず、歳出全体で二・三%の伸びを確保するとともに、
総合実施計画の予算化率一〇二・四%と、計画額を上回る予算化を果たし、着実な取り組みを図ったことであります。こうした予算を編成できたのも、基金の積極的な積み立てや起債の抑制など、長期的視点に立った財政運営により、これまで培ってきた財政の対応能力を存分に発揮できたからにほかなりません。都税収入の落ち込みを基金の取り崩しや起債の積極的な活用で賄うほか、
特定目的基金のうち当分元本まで使う見込みのない
果実活用型基金について、一時元本を借り入れる形の運用金で財源の確保を図ったことは、早急に解決を迫られている課題に直面し、施策の遅滞が許されない現在、緊急措置として当を得たものと考えます。
予算の内容では、住宅対策については、都営住宅や都民住宅の積極的な建設や、
優良民間賃貸住宅制度の促進などにより、計画を上回る供給戸数を確保するとともに、
居住継続支援事業や
共同社宅支援制度を創設するなど、きめ細かな配慮がされております。
また、ごみ問題については、清掃工場の建設を促進するとともに、
資源ごみ収集のモデル実施を行うなど、生産、流通、消費すべての段階でごみの発生を抑制する観点から、施策に積極的に取り組んでおります。
交通対策では、引き続き道路や地下鉄、新
交通システムなど多元的な交通網の整備を進めるほか、駐車場対策の推進にも努めております。
さらに、急速に進展する高齢化に対応して、
在宅サービスの拡充に向け、新たに
訪間看護ステーションの整備を進めるほか、福祉を担う人材や看護婦の不足などに対応するため、施策の強化が図られております。
こうした緊急プランへの対応のほか、今日極めて深刻な課題となっている地球環境問題や人手不足に悩む
中小企業対策、多摩、島しょの振興にも力を入れるなど、行政の各分野にわたり施策の充実を図っております。
このほか、財政状況が厳しいにもかかわらず、東京における
社会資本整備の促進を図り、国の
公共投資基本計画の推進にも資するため、投資的経費について、歳出全体の伸びを上回る伸びを確保したことは、二十一世紀をにらんだ長期的視野に立つものとして評価するものであります。
以上のように、平成四年度予算は、ハード、ソフトの両面にわたりバランスよく施策が展開されており、
マイタウン東京、
世界都市東京の実現に向け、力強く前進させようとする知事の意気込みがよくあらわれており、我が党は、これを高く評価するものであります。
この平成四年度予算案を執行するに当たっては、各局とも一層効率的な運営に努めるとともに、予算化された事業については、都民の期待に適切にこたえるべく、さらに努力と工夫を重ねて、ぜひとも完全執行されるよう、強く要望するものであります。
次に、各局関係について申し上げます。
まず、住宅局関係について申し上げます。
一、
マイタウン東京’91
総合実施計画の住宅事業には、東京都
住宅政策懇談会の提言を可能な限り取り入れており、東京の住宅問題の解決が大いに期待されるところである。その二年目である平成四年度予算の着実な執行により、住宅問題の解決のための住宅施策を積極的に推進されたい。
二、東京都
住宅基本条例を踏まえ、住宅対策をまちづくりと連動させつつ、住宅施策を体系的、総合的に推進されたい。
また、住宅施策の推進に当たっては、区市町村との連携を強化し、区市町村の住宅対策に対する支援策の具体化を促進されたい。
特に、
公営住宅供給助成や
福祉型借り上げ公共住宅助成、高齢者の
居住継続支援のための家賃助成を充実するとともに、区営住宅の建設や
地域特別賃貸住宅制度を活用した区民住宅等の供給促進のための支援の強化を図られたい。
三、都営住宅については、建てかえや高額所得者の明け渡しの促進等により供給の拡大を図るとともに、既存住宅の環境整備を推進されたい。
四、高齢者、障害者などに配慮した多様な形態の住宅の供給と、既存住宅の設備改善の推進に努められたい。特に、
利用権設定型ケアつき住宅の供給を図るとともに、
都営シルバーピア、
高齢者向け住宅等の建設を促進し、あわせて
既存中層アパートに
エレベーターを設置するなど、高齢者対策を充実されたい。
五、人口減少が著しい区部中心部における住宅の確保、回復を図るため、従来の
都市計画手法を弾力的に運用するほか、住機能の確保と拡充のため、住宅供給型の
都市防災不燃化促進事業の促進を図るとともに、
複合空間活用型区民住宅等、
供給支援事業を早期に具体化するよう努められたい。
六、まちづくりと連動した住宅対策を推進するため、東京都
木造賃貸住宅地区整備促進事業を推進するとともに、新たに東京都
住宅まちづくりセンターを早期に設立し、事業の隘路打開に向け取り組まれたい。
七、
優良民間賃貸住宅制度の創設により、民間では供給されにくい
ファミリー向けの良質で適正な家賃の住宅を大量に供給するとともに、その一部を公的住宅として借り上げ、中堅所得層や高齢者、障害者等のための住宅対策を充実されたい。
また、これらの
民間賃貸住宅について、広く都民に情報提供するための
住宅バンクシステムの開発を推進されたい。
八、中小企業を含めた複数企業の従業員向けに、良質かつ適正な住居費負担で共同社宅の供給を誘導するため、今回導入した
民間住宅建設資金融資あっせん制度の共同社宅枠の積極的な活用を図られたい。
九、東京都住宅供給公社が実施する都民住宅の供給に対し、都有地の提供、公共施設との合築の推進、
借り上げ方式の活用など、強力な支援と必要な資金の援助により、円滑な事業の推進を図られたい。
また、老朽かつ狭小な
既存公社賃貸住宅の建てかえの促進により、住宅の供給拡大と居住水準の引き上げを図られたい。この場合、
従前居住者対策には十分配慮されたい。
十、都民共有の貴重な財産である都営住宅については、その供給目的に沿って、公正かつ適切な管理に努められたい。
次に、
多摩都市整備本部関係について申し上げます。
一、
多摩ニュータウンで培った経験を活用し、秋留台地域、
調布基地跡地関連道路、立川・昭島地区の開発整備のほか、多摩地域全体を視野に入れた
都市整備プロジェクトを積極的に推進されたい。
二、
多摩ニュータウンにおける
宅地造成事業及び
公共下水道事業並びに相原・小山地区の開発整備を推進し、
多摩ニュータウンの早期完成を図られたい。
三、
多摩ニュータウンにおいて、商業、業務、文化等の複合的機能を積極的に導入し、活力と自立性を備えた新市街地の形成を図られたい。
四、
多摩ニュータウン及び周辺地域の健全な発展を図るため、街路、河川、流域下水道などの
関連公共施設整備を推進するとともに、坂浜・平尾地区など周辺地区の秩序ある開発に努められたい。
五、
多摩ニュータウンと多摩の他都市との連携を高めるため、幹線道路などの
広域的交通施設整備を図られたい。
六、事業の促進を図るため、代替地の確保及び公共用地の先行取得に努められたい。
次に、港湾局関係について申し上げます。
一、近年の輸送革新の進展及び物流動向に的確に対応するため、
青海コンテナ埠頭の整備や、内港地区における老朽化や機能低下した港湾施設の移転再配置を図るなど、港湾機能の総合力を高めるよう努められたい。
二、東京港を国際貿易港としてさらに発展させるため、船舶貨物の誘致活動に引き続き努めるとともに、港湾を通じて国際交流に寄与するため、
姉妹港交流事業などを積極的に推進されたい。
また、
世界都市東京の海の玄関にふさわしい客船埠頭を引き続き整備し、大型客船の誘致を積極的に推進されたい。
三、埠頭施設の老朽化及び周辺環境の変化等に対応するため、新しい水際市街地の創出を目指す竹芝埠頭の再開発事業を引き続き推進するとともに、日の出埠頭の再開発事業についても、事業化の推進に努められたい。
また、居住、業務、商業等の機能等を備えた
複合的市街地を目指す豊洲・
晴海埠頭地域の再開発事業についても積極的に推進されたい。
四、国際化、情報化の進展に対応する新しい未来型の都市、
東京テレポートタウンの開発は、臨海副都心開発等再検討委員会の報告を踏まえ、着実に推進されたい。
また、
東京テレポートタウンの開発に合わせ、関連する東京港
臨海道路等港湾施設の整備を促進されたい。
五、都心部と臨海副都心地域とを結ぶ新たな交通手段を確保するため、東京港連絡橋及び新
交通システムを早期に完成するよう努められたい。
また、新
交通システムの臨海副都心地域から晴海方面への延伸についても積極的に推進されたい。
六、東京港の埋立地においては、
東京テレポートタウンを初め多くの開発が推進されているが、埋立地の安全性を確保するため、地盤の液状化対策について、引き続き検討するよう努められたい。
七、平成八年度以降の新たな
廃棄物処理場を確保するため、関係者と協議の上、早期に整備するよう努められたい。
八、都民に開かれた港湾環境をつくり出すため、引き続き海上公園の整備を推進するとともに、都民の多様化している余暇活動にこたえるため、辰巳の森海浜公園の屋内水泳場の整備等、スポーツ・
レクリエーション施設の充実に努められたい。
また、海釣りが楽しめる施設整備の促進に努められたい。
九、東京港が果たしている役割について、都民がさらに理解を深めるよう、東京港モニュメント、東京港
史編さん事業等を積極的に推進するなどし、引き続き広報活動を促進されたい。
十、
東京国際空港沖合展開計画を円滑に進めるため、
羽田沖埋立事業を引き続き推進されたい。
十一、離島住民の生活の安定、産業の振興を図るため、島しょの港湾、漁港、空港などの整備を引き続き推進するとともに、小笠原空港及び伊豆諸島へリポート等の早期開設に向け、事業の促進に努められたい。
以上をもって意見開陳を終わります。
◯青木委員 私は、社会党・都民会議を代表して、この委員会における四年度
一般会計予算案の調査の結果について意見を申し上げます。
まず、
各局共通事項。
四年度予算の編成に当たり、社会党・都民会議は、要望を提出し、次のことを編成の目標として主張いたしました。
住宅基本条例制定に伴い、総合的、計画的な住宅政策を展開すること、
リサイクル条例を制定し、減量は製造、流通段階から実施すること、平和と平等、
都市間国際支援と、足元からの国際化を促進すること、安心して暮らせる老後と子育て、福祉・
医療マンパワーの育成を図ること、ゆとりある条件づくりで子供の個性を伸ばし、楽しく学べる教育を実現すること、女性、障害者、高齢者の就労を初めとする諸対策、
中小企業対策などを拡充すること、一極集中を是正し、環境を守り、住み続けられるまちづくりを目指すことなどの点です。
さて、知事が議会に提案された予算案を見ると、都税収入がバブル経済の崩壊等によって三十七年ぶりに減となり、苦しい編成だったと伝えられておりますが、厳しい条件の中で工夫を凝らし、構造面も、また個別歳出に関しても、前年度までに比べて改善が見られ、社会党・都民会議が主張してきた都民の要求にこたえる部分が多くなっています。
一般会計規模は七兆二千三百十四億円、前年度比二・三%増で、これは三年度の六・一%、また、四年度の国の二・七%や
地方財政計画の四・九%と比べて低くなっておりますが、
経済社会状況が変化した中で、総枠としては適切なものと考えます。問題は、この限られた枠の中で、従来の
開発投資優先から広義の福祉優先へ資金配分を切りかえていくことです。
目的別歳出の構成を見ると、住宅の建設、福祉と保健には、それぞれ前年度比八・一%、六・五%増と高い伸びを与えております。住宅予算の構成比は、今回まだ四・八%ですが、新しい住宅事業が多くスタートすることから、今後の伸びに期待いたします。また、福祉、保健予算は、これにより構成比七・八%、二、三年度は七・五%と、微増になっております。
一方、都市の整備が初めてマイナス二・三%となっていますが、これはここ数年の異常ともいえた伸びの反動であって、当然の結果といえるし、構成比ではなお一九・五%で、最大の分野となっております。
歳入面については、法人二税の二年連続の減収見込みにより、税収は総額でもマイナス一・九%で五兆円を割り、一方、国庫支出金も伸びが期待できないことから、起債の増加と、各種基金の取り崩し及び運用によって賄おうとしております。この二点は、私たちが提言してきたことであり、当然ですが、特に起債は依存度で五・一%になったとはいえ、他団体の依存度、例えば
地方財政計画の六・九%等を考えれば、まだまだ活用の余地がありますから、適債事業には適切に起債し、これにより一般財源を確保して、福祉等の単独事業に振り向けるべきです。
なお、関連して、さきに成立した三年度最終補正では、起債の増額分の約半分に当たる五百億円について
減収補てん債を活用しましたが、四年度も万一減収となった場合は、正当に
減収補てん債を活用するよう求めます。
次に、当委員会関係で、住宅局関係から申し上げます。
一、住宅用地を積極的に確保するなど、公営住宅の新規建設を初め、
地域特別賃貸住宅を活用した都民住宅、公社住宅など公共住宅の供給を促進すること。また、公共住宅を供給しようとする自治体に対しては、建設費補助、用地費補助、
家賃対策補助を行うこと。
一、都営住宅における建てかえを促進し、
最低居住水準未満の住宅を早期に解消するとともに、
既設公営住宅の
エレベーター附置、駐車場、ふろなどの設置による居住条件の向上を図ること。
一、公社住宅の建てかえ時には、住民と十分協議を行い、都営住宅の配置や家賃の抑制などを行い、住民が住み続けられる施策を講じるよう努めること。
一、良好な民間住宅の供給を図るため、
優良民間賃貸住宅の供給に対し助成するとともに、
民間住宅建設資金融資あっせん事業の枠の拡大を行うこと。特に、共同社宅やマンションへの支援については、枠の拡大に向けて検討すること。
一、都営住宅については、おおむね収入の一五%を目途とする
応能家賃制度を早期に実現化すること。
一、
民間賃貸住宅居住者が、住みなれた地域での居住継続が可能となるよう、
家賃補助制度などの支援策の充実を図ること。
一、
シルバーピア、障害者住宅などの供給を、高齢者、障害者用や単身者用など住宅困窮者の実態に合わせて促進することでまた、早急に
バリアフリー化の指針を策定し、公共住宅で実施するとともに、民間住宅への導入を促進すること。
一、
財団法人住宅・
まちづくりセンターは、各区にとっても魅力あるセンターとするために、マンションの建てかえや、まちづくりと連動した事業にも取り組むこと。
一、
住宅政策審議会は、まちづくりの経験のある都民や女性委員など、幅広い立場から、まちづくりの視点を加えつつ審議すること。あわせて、公営、公社の住宅居住者の要望、意見については十分聞く機会をつくること。
一、住宅基本法の制定並びに所得税における
家賃控除制度の創設を、国に対し働きかけること。
一、
住宅基本条例に基づく事業の執行を推進するため、他局や関係機関と連携して総合的な執行体制の確立に努めること。
次に、
多摩都市整備本部関係に参ります。
一、多摩地域の都市整備の全体像を明らかにするとともに、事業の選定に当たっては、多摩地域全体のバランスを十分考慮すること。
一、
多摩ニュータウンについては、宅地造成や
土地区画整理事業を促進し、早期完成を図るとともに、福祉に配慮しつつ活力あるまちとなるよう努めること。
一、秋留台地域の計画は、関係市町の計画との整合性を持ち、かつ秋留台の貴重な自然に留意するとともに、多摩地域全体のバランスを考慮し、
自立型都市圏の形成に努めること。
次に、港湾局関係に参ります。
一、臨海副
都心開発事業は、一極集中を是正するよう、進出企業の跡地利用や
開発スケジュール等の見直しを行うとともに、環境への影響に十分に配慮して整備すること。また、計画、要綱の変更、その他
臨海関係事業にかかわる重要な事項については、常時議会に報告すること。
一、臨海副都心の土地貸付においては、三年度中に基本協定の締結に至らぬ企業については貸付契約の対象としないなど、毅然とした態度で臨むこと。
一、駐車場面積を延べ床面積の算定から外すなどの建築計画の変更や、当選企業の
グループ内構成の変更等による事業内容の変更については、当初の審査結果と異なることのないよう努めること。
一、基礎価額の再算定に当たっては、地点を恣意的に変更することなく、第三者にも算定経過が明確になるよう努めることにより、基礎価格の公正、公平な再算定を行うこと。
一、臨海副
都心開発事業会計の収支の再算定に当たっては、開発者負担の
基本的考え方を変えることなく、
土地移管経費の繰り延べ等の工夫により、一般会計に影響を及ほさないよう再算定すること。
一、第三セクターについては、
チェック機能を強めるとともに、
海上輸送システムの運営主体や既存第三セクターを整理、統廃合する方向で検討すること。
一、
東京臨海熱供給株式会社は、民間企業との連携や開発者による負担など、幅広い観点から検討し、一般財源からの不当な持ち出しとならぬよう努めること。
また、京葉線については、出資比率や買い取り額について関係機関と十分協議して行うこと。
一、東京湾のあり方を埋立開発型から環境保全型に転換し、東京湾をこれ以上埋め立てる計画は立てず、同時に東京湾保全に関する施策を講じること。また、新海面処分場は、地元区との調整を図り、現処分場の延命を図るよう抜本的な対策を講ずるよう関係局に申し入れること。
一、調布飛行場については、
ホンダエアポートの活用等を促進するよう努めるとともに、住民や地元自治体の意向を十分尊重した利用計画とすること。
一、小笠原空港の整備に向けて、各種調査を実施すること。この場合、建設予定地や機種についても再検討し、特に環境影響に留意すること。
最後に、この予算案は、今述べたような幾つかの努力と工夫の跡が見られるものの、都民生活の置かれた厳しい現状を考えるならば、施策の水準はまだまだ十分とはいえず、今後さらに充実させていく必要があります。今年度で足りない分は、今後数カ年をかけてでも、より一層、住宅、教育や広義の福祉施策へ財源を重点配分し、過去の最高水準へと戻し、さらに増加させることを要望して、意見開陳といたします。
以上です。
◯中山委員 私は、
都議会公明党を代表しまして意見を述べます。
初めに、各局共通であります。
本予算案は、都税収入の伸びを前年度当初
予算比マイナス一・九%に見込むなど、極めて厳しい財政事情を反映したものとなっているが、各種基金の弾力的運用などにより、
総合実施計画の事業化に最大限の配慮を行っており、評価するものである。
事業の推進に当たっては、四つの緊急プランである、一、住宅政策の総合的展開、二、
リサイクル型都市づくり、三、交通政策の推進、四、地域福祉の基礎づくりを優先すべきであり、
東京フロンティアや臨海副都心開発に関連する事業計画は、事業の進捗状況や
経済社会情勢の変化に適切に対応させながら推進させるべきである。
次に、住宅局関係について申し上げます。
平成四年度の予算においては、我が党が強く主張してきた
住宅基本条例が制定されたことを踏まえ、条例が目指す、ゆとりある住生活の実現に向け、都民に対し、良質でしかも負担可能な住宅をより多く提供していくために、従来の枠にとらわれず積極的に取り組むことを強く要望する。
一、
区市町村住宅マスタープランは、地域からの発想に基づく住宅供給の基本的な計画であり、区市町村が早期に策定できるよう、都として指導、支援に最大限の努力を払うこと。
一、区部における
定住人口回復策として、再開発事業等の手法により、住宅の確保を強力に推進されたい。また、
複合空間活用型公的住宅供給支援事業を早急に制度化されたい。
一、都心地域における
中層都営住宅の建てかえ事業を積極的に推進し、居住環境の改善と新たな住宅供給を図られたい。
一、都有地の有効活用を図り、合築などの手法により、都営、地域特賃、都民住宅などの公的住宅の建設を積極的に推進されたい。また、都民住宅の家賃については、入居者の負担可能な家賃となるよう努められたい。
一、公営住宅の建設及び建てかえに当たっては、居住者のライフサイクルに合わせた多様な間取りの住宅を確保するとともに、高齢社会に向けて、老人室つき住宅や
シルバーピアとしての高齢者集合住宅の増設を図るほか、既存中層住宅への
エレベーター設置事業についても、より積極的に推進されたい。
一、公営住宅の集会所、自転車置き場、遊び場等の拡充を図るとともに、計画修繕、一般修繕の徹底を図られたい。また、駐車場施設については、既存団地でも積極的に設置できるよう努力されたい。
一、公社住宅の建てかえに当たっては、現居住者が引き続き負担可能な家賃となるよう特段の配慮を願いたい。
一、民間住宅の自力建設を促進するための
民間住宅建設資金融資あっせん事業については、さらに制度の拡充を進め、事業の向上に特段の努力をされたい。
次に、
多摩都市整備本部関係について申し上げます。
住宅に対する都民の切実な要望が高まっている今日、
多摩ニュータウン建設事業は、その重要性が一層増大し、従来にも増して早期完成が期待されているところであります。今後は、多摩の振興のために、次の施策を強力に推進するよう要望します。
一、秋留台地域、
調布基地跡地関連道路、立川・昭島地区の開発整備などの
都市整備プロジェクトを積極的に推進されたい。
一、
多摩ニュータウンにおける
宅地造成事業及ぴ
土地区画整理事業の積極的推進を図り、住民の福祉と利便に資する諸施策を誘致し、複合的な機能を有する活力あるまちづくりを推進するとともに、高齢化社会に対応する福祉型マイタウンを建設すること。
一、
多摩ニュータウンに関連する幹線街路の早急な整備を図るとともに、坂浜・平尾地区など周辺地域の秩序ある開発に努められたい。
一、
多摩ニュータウンの相原・小山地区を緑豊かな自然環境を生かしながら、商業・業務施設等の誘致を図る区域として積極的に開発すること。
次に、港湾局関係について申し上げます。
東京港を輸送革新及び取扱貨物量の増大に的確に対応できる効率的な港湾として充実させるとともに、
世界都市東京全体の観点に立って、業務、商業、文化、居住など都市的諸機能がバランスよく配置された新しい港づくりを目指して、次の施策を強力に推進されることを要望します。
第一、港湾機能の充実を図る。
一、大井青果物、十二号地内貿雑貨埠頭、中央防波堤内側ばら物埠頭等の岸壁及び東京港臨海道路等の道路、橋梁の整備をさらに推進すること。
一、外貿コンテナ輸送に対応する
青海コンテナ埠頭の整備を初め、コンテナ関連施設の増強を引き続き推進すること。
一、港湾労働者宿泊所及び厚生サービス施設等の港湾関係就労者のための福利厚生施設の整備を引き続き推進すること。
一、大型客船の誘致を図るため、引き続き晴海客船埠頭の整備を推進すること。
第二、港湾の振興を推進する。
一、東京港の国際貿易港としてさらに発展させるため、ポートセールス活動を引き続き推進し、貨物誘致に努めるとともに、国際交流に寄与するため、
姉妹港交流事業等を引き続き推進すること。
一、東京港の役割について、都民がさらに理解を深めるよう東京港モニュメント等の事業を推進するとともに、広報活動をさらに推進すること。
第三、臨海部の開発を推進する。
一、国際化、情報化に対応する新しい未来型都市臨海副都心の開発については、臨海副都心開発等再検討委員会の報告を踏まえ、着実に推進すること。
一、新しい水際市街地の創出を目指す竹芝埠頭を初め、日の出埠頭及び豊洲・晴海埠頭の内港地区再開発事業を引き続き推進すること。
一、都心部と臨海副都心地域を結ぶ新たな交通手段を確保するため、東京港連絡橋及び新
交通システムの早期完成に努めるとともに、新
交通システムの晴海方面への延伸についても積極的に推進すること。
一、羽田空港沖合移転の早期実現のため、
羽田沖埋立事業を引き続き推進すること。
第四、海上公園、スポーツ・
レクリエーション施設の拡充を図る。
一、都民に親しまれる港湾環境をつくり出すため、引き続き海上公園の整備を推進すること。
一、都民の余暇活動にこたえるため、辰巳の森海浜公園の屋内水泳場及びラグビー兼サッカー場等スポーツ・
レクリエーション施設の充実に努めること。
第五、防災対策や環境整備を推進する。
一、東京港の臨海地帯を高潮等の災害から守るため、防潮堤等の高潮防御施設の整備を引き続き推進すること。
一、東京港の運河を都民が親しみ憩えるよう、水質の汚濁防止、汚泥の除去等運河の浄化を図るなど、環境整備に努めること。
一、埋立地の地盤の安全を確保するため、液状化対策についてさらに推進すること。
一、平成八年度以降の新たな廃棄物の処分場を確保するため、関係者と協議の上、早急に新海面処分場を整備するよう努めること。
第六、離島の振興を図る。
一、離島住民の生活の安定、産業の振興を図るため、島しょの港湾、漁港、空港の整備を引き続き推進すること。
一、元町港船客待合所、小笠原空港及び伊豆諸島へリポート等の早期開設に向け、事業を推進すること。
以上です。
◯西田委員 日本共産党都議団を代表して、当委員会に付託されました平成四年度
予算関係議案について意見の開陳を行います。
初めに、住宅局関係についてであります。
一、すべての都民は、健康で文化的な住生活を営む権利を有することを確認し、その立場に立って住宅政策の展開を図ること。
一、東京にすべての人々が適正な居住水準、良好な住環境を備えた住宅に負担可能な家賃で居住することができるように、あらゆる手段を講ずること。
一、容積率ボーナス制度活用による住宅供給、土地信託による都民住宅など、住宅政策への民活導入をやめ、都営住宅、都立住宅、住宅供給公社賃貸住宅を中心とした住宅対策に切りかえること。
一、
最低居住水準未満の世帯を早期に解消するため、期限と計画を定め、都民の居住水準を計画的に向上させること。
一、公営住宅の建設戸数と、その東京都への配分を大幅にふやすよう国に要求し、都営住宅の建設戸数、特に新規建設戸数を大幅にふやすこと。特に、定住人口を確保するため、都心区への都営住宅と公共住宅の建設を促進すること。
一、一種、二種の区別の廃止を国に要求するとともに、新規住宅は、高齢者、障害者、ひとり親世帯などの住める多様なタイプの住宅をふやすこと。
一、都営住宅等の新規建設または建てかえに当たっては、居住者及び周辺住民に十分説明を行うとともに、その意見を尊重すること。
一、公営住宅の入居収入基準を超える世帯も含めて、都民が安い家賃で入れる都立住宅を都の単独事業として建設すること。
一、都民が安い家賃で入居できる公社の一般賃貸住宅の建設を促進するため、用地費への助成、都有地の安い地代での貸し付け、無利子貸付の増額などの支援を強めること。
一、住宅供給公社の利用権設定型住宅の建設をやめること。
一、未利用都有地を都営住宅などの住宅建設用地として優先的に活用するとともに、国公有地を初め、旧国鉄用地、基地跡地、大企業の未利用地など、公共住宅建設用地の確保に努めること。
一、区市町村営、区市町村立住宅建設への都有地の提供、用地費への助成など、区市町村の住宅対策への支援を強化拡充すること。
一、公営住宅の入居収入基準を大幅に引き上げるよう国に要求すること。
一、高額所得者認定の収入基準の引き上げを国に要求するとともに、都独自の明け渡し収入基準を引き上げることなど、コミュニティを守る上からも大幅に見直すこと。
一、単身者の入居できる都営住宅をふやし、新築住宅でも対応すること。また、対象を青年、女性、公害病患者、精神障害者にも拡大すること。新婚向けの特別枠を設けること。
一、高齢者、ひとり親家庭、障害者、低所得者、青年、新婚世帯などを対象とした
家賃補助制度を創設すること。
一、住宅の営繕、環境改善事業を大幅に拡充すること。その際、修繕負担区分を見直して居住者負担分を軽減すること。
一、既存都営住宅の住宅改善事業を促進すること。
一、既存の中層住宅への
エレベーターの設置を促進すること。
一、住民合意の上で、新設、既設の都営住宅に駐車場の設置を促進すること。
一、
民間住宅建設資金融資あっせん制度を抜本的に改善すること。
一、
民間賃貸住宅建設に対する長期、低利の融資あっせん、利子補給、補助の強化を図ること。
一、中低所得層向けの良質で低廉な
民間賃貸住宅の供給を促進するため、家賃等についての協定を結ぶことを前提に、土地所有者等への共有部分の建設費等への補助、建設、改良、改修等の資金に対する低利または無利子の融資、技術的支援を行うとともに、入居者の家賃負担を軽減するための援助を行うこと。
一、マンションの共用部分の改良工事、計画修繕に対して低利の融資制度をつくること。
次に、住宅供給公社賃貸住宅の建てかえについてであります。
一、住宅供給公社賃貸住宅の建てかえ計画は、建てかえ後の家賃の高騰を防ぐ方策を検討し、実現すること。高家賃化防止の方策を確立するまで、計画は凍結すること。
一、すべての居住者が住み続けられる団地更新計画の立案を前提に、自治会、協議会、当該自治会と公社の間で十分に時間をかけて協議すること。
一、同一団地内一律の建てかえでなく、建てかえ、住戸内改善など居住者の要求に沿ったきめ細かな団地更新計画をつくること。
一、住宅政策の計画、立案、施策の展開に当たっては、住民参加を保障すること。
次に、多摩都市整備本部についてであります。
一、上下水道料金に対する消費税の転嫁、上乗せを撤回すること。
一、既存団地については、医療、交通、文化、スポーツなど公共公益施設を整備し、開発により失われた緑の回復に努めること。
一、十九住区の開発計画の策定に当たっては、地元住民の要望をくみ上げ、酪農など農業の保存、自然、埋蔵文化財の保全を図ること。
一、専門家、文化財保護団体などの参加を得て、埋蔵文化財の保存計画を民主的に作成し、遣跡公園、自然公園として面的な現状保存に努めること。
一、ニュータウン内への業務施設などの進出や誘致等は、地元住民の理解のもとに計画的に行うこと。
一、民活型の開発は行わないこと。住宅建設対策の地元市への補助を継続すること。
一、賃貸住宅の比重を高め、都営二種住宅の建設、高齢者、障害者、単身向けなど住民の多様な要求にこたえる諸施策を進めること。
一、高齢化社会に対応するため、老人ホームの建設を初め、施策の強化を図ること。
一、秋留台の整備については、企業の土地買い占め、転がしを防ぎ、緑と自然を守り、地元の生活環境を改善するなど、住民の意向が全面的に反映するものとすること。
一、多摩地域の開発に当たっては、大企業本位でなく、住民の合意の得られるものとすること。
次に、港湾局関係についてであります。
内外の大企業の活動拠点につくりかえる臨海副都心開発計画は白紙に戻し、東京臨海新交通株式会社、東京臨海副都心建設株式会社、
東京臨海熱供給株式会社への出資をやめること。また、都民の貴重な都有地である埋立地、臨海部を都民本位に活用するために、住民参加による抜本的な見直しを行うこと。
一、東京港の振興対策は、大企業本位でなく中小港運業の振興、港湾労働者の雇用を創出することを基本として進めること。
一、竹芝、日の出、芝浦埠頭の再開発は、第三セクターによる業務、商業中心の開発でなく、港湾物流機能の充実、港湾労働者のための福利厚生施設の拡充、住宅、福祉、文化施設などの整備を中心としたものとすること。
一、構造不況業種の指定を受けているはしけ業者に対して、はしけだまり福利厚生施設、共同事務所などを備えた基地を整備すること。
一、中小港湾業者に対し、港湾施設使用料の据え置き、埋立地貸付使用料の減額、水際加算金の軽減、長期低利の融資などを行うこと。
一、道路、埠頭、上屋、荷さばき施設など港湾施設を整備すること。
一、入港船舶の運搬給水業務に協力する民間会社に助成を行うこと。
一、東京港沈埋トンネルの通行料を、東京港において荷役などに従事する車両については減免措置を講ずること。
一、宿泊所、スポーツ施設、厚生施設など港湾関係労働者のための施設の整備を急ぎ、福利厚生事業を充実すること。
一、都民が広く東京港に対する理解を深めるため、展望台のある歴史資料館を建設すること。みなと祭りなどで東京港取扱品の展示、即売、東京港での花火大会の開催などを実施すること。
一、干潟の保全、人口なぎさの造成、潮通しの確保などにより水質を浄化すること。小型船の積み出し基地、廃油処理施設、海洋性廃棄物処理施設を整備すること。
一、航路、泊地及び公共埠頭前面の水深を定期的に測量し、必要なしゅんせつを促進するとともに、しゅんせつ船団の指揮船、清掃船を建造すること。
一、羽田沖の新漁場を一層拡充し、航路に支障のない水域に、浅場、干潟、魚礁など魚介藻草類の生息環境を確保すること。とりわけ葛西海浜公園の沖に新漁場を整備すること。
一、海上公園、マリーナ等の環境整備事業を促進すること。なお、公園の管理運営の委託をやめ、都が直営で責任を持って都民サービスに努めること。
一、内部護岸、水門改良など海岸保全施設の建設整備を促進すること。
一、港湾施設について、地震の際の地盤液状化にも対応できるよう耐震化すること。
一、港湾環境整備負担金、入港料、大型船舶への係船料など、大企業の負担を適正に引き上げること。
一、島しょ地域の港湾、漁港の整備を促進すること。
一、調布場外離着陸場の都営コミューター空港化計画を撒回し、都民参加で基地跡地利用を進めること。
以上であります。
◯長谷川委員 まず、各局共通でありますが、戦後の国際的枠組みは完全に崩壊し、相対的安定期は終了し、こうした中で国際的な対立の激化が進行している。我が国政府も、自衛隊の海外派兵を策すなどしている。また、今日直面している不況は、一九三〇年代を上回る本格的なものとなろうとしており、資本主義経済の本質的な危機があらわれつつある。バブル経済の崩壊による都税収入の減少を、予算案では基金の取り崩しで乗り切れるとしているが、しかし、何ら本質的解決ではない。バブルは人為的、政策的な矛盾の繰り延べであったが、その傍らで住民と労働者の犠牲の上に大資本にぼろもうけをさせ、共和、佐川に見られる腐敗をもつくり出してきた。
鈴木都政もまた、この腐敗と無縁でないことが明らかとなった。鈴木都政の基調がバブル促進であったこと、バブルを前提とした政策として、膨大な財政を投入した開発と一極集中であったことを、根本から問い直さねばならない。住宅から追われ、通勤ラッシュが激化し、東京の自然と環境が破壊されてきたことも、すべてその結果にほかならない。
予算案が緊急課題として取り上げている住宅を初めとする諸事項も、その原因は、開発優先、大企業優先の都政の根本にこそあるのである。直ちに臨海副都心開発など、その開発優先の政策を変更すべきである。
さらに、不況への突入に当たって、都民の犠牲によって資本が延命する道を許さず、その影響から、都民と中小業者を守る立場に立つべきである。三十九条例五規則もの値上げは中止すべきである。
福祉的予算について充実を図ることは当然だが、予算が障害者などを差別し隔離する施設、政策に配分されている現実は改善すべきである。
その点では、各局においても、それぞれの分野において、障害者、高齢者、外国人などが差別されることなく、地域社会の主体として生きていくことができるための施策を行うべきである。
都職員の総定員抑制は、都民生活に直結した事業の圧迫と労働強化を強めており、必要な職員数を確保すべきである。
次に、多摩都市整備本部です。
多摩の総合的開発を担う責任は大きいものがある。だからこそ、都民、住民の利益を守る責務を自覚し、その立場で行政の執行に当たらなくてはならない。
一、秋留台などの開発で、大企業などによる土地の買い占めが行われている。住民や都民の意見を十分聞き、自然を守ること。
一、圏央道を前提とした道路計画やまちづくりをしないこと。
一、民活型の開発を行わないこと。
一、賃貸住宅を重視し、都営二種や福祉住宅の増加を図ること。
一、水道料金への消費税の転嫁は行わないこと。
次に、住宅局。
住宅政策を本予算案の第一の課題としながら、都民の真に希望する住宅政策に反し、民活型の都民住宅などを柱とした政策をとっている。
一、何よりも都の最も基本的な責務である、安くて住みよい公営住宅の大量建設の原点に返り、これを政策の基軸とすべきである。
一、福祉対応の住宅を拡大するとともに、高齢者、障害者などが住み続けられるよう家賃減額などの制度の強化を図ること。
一、住宅に困窮している都民や、劣悪な住宅での居住を余儀なくされている都民の住宅の状況の改善のために、家賃助成や減税策などの条件の整備を図り、さらに対象を拡大すること。
一、入居、明け渡しの収入基準の一層の引き上げを国に求めるとともに、都としても努力すること。
一、応能家賃を制度化すること。
一、業者や家主による外国人、高齢者、障害者などに対する入居差別をなくすため、都は指導、啓発、制度の改革などあらゆる努力をすること。
一、住宅供給公社の建てかえは、居住者との合意に基づかずには行わないこと。また、建てかえ後の家賃の高額化をなくし、住み続けられるようにするため、制度の改革を初め、都営住宅の併設など家賃減額のあらゆる施策を講じるとともに、国へも働きかけること。さらに、建てかえ対象団地も修繕などを行うこと。
次に、港湾局。
臨海副都心建設は、再検討によっても何らその本質は変わっていない。一部の大企業の利益のために、都民の貴重な臨海部が食い物にされ、そのために多額の都民の税金が注ぎ込まれている。また、東京の集中問題を激化させるものであり、臨海副都心計画は白紙に戻すべきである。
一、応募企業との契約において発生している諸問題は重大である。企業側が本来負うべきリスクを、都の譲歩によって回避しようとしていること、そして、都も当初の応募条件を変更してこれに応じようとしていることは許されない。さらに、ゼネコンの社員出向の問題に加えて、都職員の関与する企業の落札など、第三セクターの建設工事発注、落札において生じている疑惑も看過できないものである。
また、基準地価算定は、公開性、公正性を担保されていないことも問題である。
一、新海面処分場は、環境を守る住民、広範な都民の意向を尊重し、計画を撤回すべきである。廃棄物の生産者責任の徹底化、生産、消費構造の一大転換をなすべきである。
一、都民の暮らしに必要な本来の港湾事業は、関係住民、労働者、中小海運業者の声を反映させて充実強化に努めること。
一、三宅島、硫黄島へのNLP基地を初め、一切の軍事使用を拒否すること。
一、島しょの港湾、漁港などの整備は、住民の声を聞き、自然を破壊することのないよう十分配慮して促進すること。
一、調布飛行場問題については、計画を撤回し、地元住民の意見に耳を傾け、再検討すること。
一、今後の臨海部再開発の進展とともに、東京都の過密、危険な状況は一層悪化する。このような中で、核燃料の輸送や軍艦の往来がなされている。これらを直ちに中止すること。
以上です。
◯大沢委員長 以上をもちまして意見の開陳は終わりました。
なお、ただいま開陳されました意見につきましては、取りまとめの上、調査報告書として議長に提出いたしますので、ご了承願います。
以上をもちまして予算の調査を終わります。
━━━━━━━━━━
◯大沢委員長 これより付託議案の審査を行います。
第百三十七議案から第百四十一号議案まで五議案を一括して議題といたします。
本案については、既に質疑を終了いたしております。
なお、ただいま議題となっております第百三十七号議案に対し、西田委員から修正案が提出されました。
案文はお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
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修正案の提出について
第百三十七号議案 東京都
住宅基本条例
右議案に対する修正案を別紙のとおり東京都議会会議規則第六十五条の規定により提出します。
平成四年三月十九日
提出者 西田ミヨ子
住宅港湾委員長殿
第百三十七号議案 東京都
住宅基本条例に対する修正案
第百三十七号議案東京都
住宅基本条例を次のように修正する。
東京都
住宅基本条例
目次
前文
第一章 住宅及び住環境の水準の確保と適切な住居費(第一条-第四条)
第二章 都及び事業者等の責務(第五条・第六条)
第三章 住宅に関する施策の基本(第七条-第四十条)
第四章 東京都住宅白書の作成及び東京都住宅マスタープランの策定等(第四十一条-第四十三条)
第五章 住民参加(第四十四条-第四十六条)
第六章 住宅に関する都民の苦情の調整等(第四十七条-第五十八条)
第七章 雑則(第五十九条・第六十条)
附則
住宅は、人間の生命の安全と健康並びに人間の尊厳を守り、家庭と社会の基礎をつくり、豊かで文化的な生活を支える基盤である。このために、人々は、より良好で快適な住宅と住環境とコミュニティの形成を求めて、不断の努力を積み重ねてきた。
しかし、東京においては、業務機能を中心とした諸機能の過度の集中、住宅地へのオフィス・ビルの進出の結果、都民の居住そのものが脅かされ、住み慣れた地域での居住の継続は困難となり、地域のコミュニティは破壊の危機にさらされ、日本国憲法がすべての国民に保障する健康で文化的な最低限度の生活を営む権利が阻害されようとしている。
よって、われわれ都民は、人間にふさわしい住生活を妨げるその原因を取り除き、住み慣れた地域社会で、豊かに安心して住み続け、健康で文化的な住生活を営む権利を保障するために、次のことを宣言するとともに、すべての都民が良好な住居と快適な環境の下で住み続けることのできる東京を実現するため、この粂例を制定する。
一 すべての都民は、健康で文化的な住生活を営む権利を有するのであって、良好な住居の維持・向上と地域の特性を生かして安心して豊かに住める地域社会の形成に努めなければならない。
二 東京都は、都民の健康で文化的な住生活を営む権利を保障する最大限の責務を負うのであって、その責務を果たすため、諸機能の東京への一極集中の是正、住宅・住宅地の保全の措置を講ずることを始め、東京に住むすべての人々が適正な居住水準、良好な住環境を備えた住宅に負担可能な住居費で居住することができるように、土地・家屋にかかる税の軽減を含めあらゆる手段を講じなければならない。
三 東京都は、住宅政策の計画、立案及び施策の展開に当たっては、住民参加を保障しなければならない。
第一章 住宅及び住環境の水準の確保と適切な住居費
(住宅の水準の確保)
第一条 東京都(以下「都」という。)都民及び事業者は、都の区域に存する地域内(以下「都内」という。)の住宅が、生命の安全と健康並びに人間の尊厳を守り、居住者に安らぎと秩序を保障するもので、次に掲げる水準を満たすものとなるよう努めるものとする。
一 住居として独立し、個人の尊厳を保障できるものであること。
二 世帯人員に応じた住戸規模が確保されるとともに、堅固かつ安全な構造を有し、快適な生活を保障できるものであること。
三 保健・衛生上必要な設備を有し、自然環境を考慮するものであること。
四 安全と快適性を配慮するものであること。特に、高齢者、障害者及び幼・小児に対して配慮するものであること。
(住環境の水準の確保)
第二条 都、都民及び事業者は、住環境が、生命の安全と健康を守り、自然・文化と調和し、住民に快適さを与え、ひいては健全なコミュニティの発達に寄与するもので、次に掲げる水準を満たすように努めるものとする。
一 災害に対する安全性を確保するものであること。
二 住宅の敷地の規模が適切なものであること。
三 住宅の敷地は適切な幅員の道路に接し、かつ、適切に植栽された空地を確保するものであること。
四 住宅の密度が適切なものであること。
五 建築物の用途が混在する地域においては、それぞれの用途の調和を確保するものであること。
六 周辺地域と調和した良好な美観等を考慮するものであること。
七 自然的環境を適切に生かすものであること。
八 良好な近隣生活を確保するものであること。
(適切な住居費)
第三条 都は、都内に居住する住民の住居費が、各人の負担能力を超えない範囲内のものとなるよう努めなければならない。
(指針の策定)
第四条 知事は、第一条から第三条までの規定に基づき、都内における住宅及び住環境並びに住居費の指針を定めるものとする。
第二章 都及び事業者等の責務
(都の責務)
第五条 都は、国、特別区及び市町村(以下「区市町村」という。)と協力して、第三章に定める施策を始め、あらゆる施策を通して、都民の健康で文化的な住生活を保障するよう努めなければならない。
2 都は、区市町村の住宅にかかわる施策を促進するため、必要な援助及び助言を行うものとする。
(事業者及び開発事業者の責務)
第六条 都内に事業所を有する事業者は、良好な住宅及び快適な住環境の維持、確保及び向上に努めるとともに、都の住宅政策にかかわる施策に協力しなければならない。
2 開発事業者(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第十二項の開発行為又は建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第十三号の建築を行う者をいう。以下同じ。)は、都民の住生活を守り、住みよい住環境の保全、形成に努めるとともに、都が実施する住宅政策にかかわる施策に協力しなければならない。
第三章 住宅に関する施策の基本
(住宅政策の目標)
第七条 都の住宅政策の目標は、第八条から第四十条までに定める施策その他の住宅に関する施策を総合的かつ計画的に展開し、都内に住むすべての人に、健康で文化的な住生活を保障することにある。
2 都は、国の定める最低居住水準に達しない世帯の解消に努めなければならない。
3 都は、立ち退き要求、高齢者等に対する入居制限及び住居費の高騰等による都民の居住への不安を解消するために、最大限の努力を払わなければならない。
(公共住宅の比率の計画的な拡大)
第八条 都は、都内の全住宅に占める公共住宅
(都、区市町村又は東京都住宅供給公社(以下「公社」という。)が供給する賃貸住宅又は住宅・都市整備公団(以下「公団」という。)その他の公的主体が供給する賃貸住宅をいう。以下同じ。)の比率を高める目標及び計画を策定し、その実現に努めなければならない。
(都営住宅等の供給の促進)
第九条 都は、公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)に基づき、住宅に困窮する低所得者に対して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を低廉な家賃で賃貸するために、都営住宅の新規建設及び老朽化した都営住宅の建て替えの促進に努めなければならない。
2 都は、都立住宅(都が建設し、低所得者及び中所得者に対して、その負担可能な家賃で賃貸するための健康で文化的な住生活を営むに足りる住宅をいう。以下同じ。)を建設しなければならない。
3 都は、公社に対して、長期無利子の融資、住宅金融公庫からの借入れに対する利子補給、都有地の無償貸付などの援助を行い、公社による勤労者のための居住環境良好な住宅の供給を促進しなければならない。
4 都は、健康で文化的な住生活を営むに足りる
民間賃貸住宅を借り上げて、低所得者及び中所得者に対して、その負担可能な家賃で賃貸することができる。
5 都は、都が行う住宅建設を円滑に推進するため、関係区市町村と、あらかじめ当該住宅の建設について協議するものとする。
6 都は、都営住宅等の新規建設又は建て替えに当たって、居住者及び周辺住民に十分説明を行うとともに、その意見を尊重しなければならない。
(都営住宅等の建設に伴う生活環境の整備等)
第十条 都は、公共住宅を建設する場合においては、関係行政機関と協力して、住宅周辺の道路、上・下水道、衛生・清掃・環境関係施設、教育・厚生・医療関係施設その他の日常生活に不可欠な公共施設の整備等、当該公共住宅の周辺における生活環境の整備等を進めなければならない。
2 前項の規定において、都は、関係区市町村の意向を尊重するほか、当該公共住宅の建設に伴い区市町村が行う公共施設の整備事業等に対して、資金の貸付、都有地の優先譲渡等の援助を行うものとする。
(公営住宅等を建設する区市町村への援助)
第十一条 都は、公営住宅、公立住宅(区市町村が建設し、低所得者及び中所得者に対して、その負担可能な家賃で賃貸する、健康で文化的な住生活を営むに足りる住宅をいう。以下同じ。)等を建設し、供給する区市町村に対し、都有地の優先譲渡、用地取得費及び建設費等の一部の補助等必要な援助を行うものとする。
2 都は、区市町村が公営住宅等の公共住宅の建て替えを行う場合、前項の規定による補助のほか、仮移転のための住宅の提供等の援助を行うものとする。
(公共住宅のための用地取得の促進等)
第十二条 都は、自らが建設する住宅、公社が建設する住宅及び区市町村が建設する住宅のための用地の取得を促進しなければならない。
(区市町村に対する協力の要請)
第十三条 都は、都民の健康で文化的な住生活を保障するため、区市町村に対し、区市町村の供給する住宅について必要な協力を求めるものとする。
(国、公団等に対する協力の要請)
第十四条 都は、都民の健康で文化的な住生活を保障するため、国及び公団等が供給する住宅について、国又は公団等と協議し、必要な協力を求めるものとする。
(公共住宅の家賃)
第十五条 都は、自ら供給する賃貸住宅の家賃を、第四条の規定に基づき知事が定める住居費の指針に従い、入居者の負担能力の範囲内で定めるものとする。
2 都は、公社に対して、その供給する賃貸住宅の家賃を、第四条の規定に基づき知事が定める住居費の指針に従い、入居者の負担能力の範囲内で定めるよう指導するものとする。この場合、都は、公社に対して必要な財政上の補助を行わなければならない。
3 都は、区市町村に対して、その供給する賃貸住宅の家賃を、第四条の規定に基づき知事が定める住居費の指針に従い、入居者の負担能力の範囲内で定めるよう協力を求めるものとする。この場合、都は区市町村に対して必要な財政上の補助を行わなければならない。
(都営住宅等の改善)
第十六条 都は、自ら供給する公共住宅について、第四条の規定による指針に基づき、住宅の水準が満たされるよう住宅の改良及び改修・修繕などに努めなければならない。
(公共住宅間での住み替え制度)
第十七条 都は、入居者の実情又は希望に応じて、都及び公社の供給する公共賃貸住宅の間での住み替えを、積極的に進めなければならない。
2 都は、区市町村に対して、入居者の実情又は希望に応じた住み替えについて必要な協力を求めるものとする。
3 都は、公団等に対して、入居者の実情又は希望に応じた住み替えについて必要な協力を求めるものとする。
(低所得者等向け
民間賃貸住宅の供給の促進)
第十八条 都は、土地について所有権又は借地権を有する者が、第四条の規定による指針を満たす住宅を建設し、都と当該住宅の家賃等について協定を結び、低所得者及び中所得者を対象に賃貸する場合、当該土地について所有権又は借地権を有する者に対して、従前住居の除却費、共用部分の建設費及び設計費に対する補助、建設資金及び居住水準向上のための改良、改修・修繕等の資金に対する低利又は無利子の融資、技術的支援を行うことができる。
2 都は、前項の規定による住宅の入居者の家賃負担を軽減するための援助を行うことができる。
(自己用住宅取得等に対する援助)
第十九条 都は、自らが居住するための住宅(区分所有の集合住宅を含む。)の建設、購入、居住水準向上のための改良、改修・修繕(共有部分を含む。)又は建て替えを行おうとする者に対し、必要な資金の低利又は無利子の長期融資、利子補給、技術上の支援その他の援助を行うものとする。
(最低住戸専用面積の確保)
第二十条 事業者は、その建設する住宅の住戸専用面積を、国の最低居住水準として定められた一人世帯用の住戸専用面積以上とするように努めなければならない。ただし、寮又は寄宿舎等において、共用の食堂又は浴室等を有するものについては、この限りでない。
2 都は、区市町村と協力して、事業者が前項の規定による面積を満たす住宅を建設するように適切な指導を行うものとする。
(住宅建築物の住宅以外の用途への転用の防止)
第二十一条 都は、第十八条に基づく都の援助を受けて建設された住宅が住宅以外の用途に転用されたときは、融資の一括繰上返済及び補助金の返還等の措置をとるものとする。
2 都は、特に既成市街地における居住機能の維持を図るため、必要があると認めるときは、住宅として建設された建築物及び現に住宅として使用されている建築物について、住宅以外の用途に転用されることのないよう、区市町村と協力して、所有者に対して指導又は助言することができる。
(
民間賃貸住宅入居に関する啓発)
第二十二条 都は、高齢、障害、国籍等の理由により
民間賃貸住宅への入居の機会が制約されることがないよう、賃貸人その他の関係者に対する啓発に努めるものとする。
(高齢者等のための公共住宅の供給の促進)
第二十三条 都は、高齢者、障害者等の実情にあった高齢者向け住宅、障害者向け住宅等の建設又は供給を促進しなければならない。
(高齢者等向け住宅についての優遇措置)
第二十四条 都は、第十八条の規定による援助を行う場合において、当該住宅が高齢者又は障害者の利便の向上に資するものであるときは、当該援助について特別の優遇措置を講じなければならない。
(公共住宅への高齢者、障害者等の優先入居)
第二十五条 都は、自ら供給する公共住宅について、住宅に困窮する高齢者及び障害者等が優先的に入居できるよう、特別の措置を講じなければならない。
(高齢者等への家賃助成等を行う区市町村に対する補助)
第二十六条 都は、区市町村が高齢者、障害者、ひとり親世帯及び低所得者等に対して家賃助成を行うときは、当該区市町村に対し補助を行うものとする。
2 都は、区市町村が
民間賃貸住宅を借り上げて、低廉な家賃で高齢者、障害者及びひとり親世帯等に供給しているときは、当該区市町村に対し補助を行うものとする。
(多世代の居住に資する住宅等の供給促進のための施策の推進)
第二十七条 都は、多世代の居住に資する住宅及び加齢に伴う身体機能の変化に対応できる構造を備えた住宅の供給を促進するため、必要な施策を推進するものとする。
(単身者向け公共住宅の促進)
第二十八条 都は、若年単身者等単身者を対象とした住宅の建設又は供給を促進しなければならない。
(住宅又は住宅地の保全)
第二十九条 都は、業務又は商業の用途のための開発によって、住宅又は住宅地が失われることのないよう、最大限の努力をしなければならない。
(都が行う都市開発における住宅の確保)
第三十粂 都は、自ら都市開発を行う場合には、都営住宅、都立住宅その他の公共住宅の建設に努めなければならない。
2 前項の規定に従って建設された住宅については、その地域の従前居住者でかつ継続して居住を希望する者に対し、引き続き居住可能な家賃で優先的に賃貸するものとする。
(大規模開発における住宅付置又は開発協力金の提供)
第三十一条 都は、規則で定める規模を超える都市開発を行う事業者に対して、その規模等に応じて、第四条の規定による指針を満たす住宅を供給するよう求めることができる。
2 都は、事業者が前項の規定による住宅の供給ができないと認められるときは、それに代わる開発協力金の提供を求めるものとする。
3 前二項の規定において、関係する区市町村が、開発協力金等当該都市開発に係る負担を事業者に求めているときは、都は、当該区市町村と協議を行うものとする。
4 都は、第一項の規定により供給される住宅を借上げて、都民に供給するよう努めるものとする。
(都民の住宅まちづくり組織等への援助)
第三十二条 都は、都民の住宅まちづくり組織等が行う住宅及び住宅地の保全、住環境の整備等のための自主的活動に対して、必要な財政的援助及び技術的支援を行うものとする。
(良好な住環境の整備等を行う区市町村に対する援助)
第三十三条 都は、住宅の不燃化及び質の向上、良質な住宅の供給、道路、公園その他の公共施設の整備並びに良好な住環境の形成を図るための施策を行う区市町村に対して、必要な援助を行うものとする。
(土地投機等の調査)
第三十四条 都は、土地投機及びこれに対する金融機関等の融資の実態を調査し、その結果を適切なかたちで公表するものとする。
(都民の居住を強迫的に脅かす行為の規制)
第三十五条 都は、正当な
権原に基づいて建物又はその敷地を居住の用に供している者に対し、強迫的行為によって、その意思に反して、これらの明渡しを要求する等都民生活を脅かす行為の実態について調査するとともに、都民生活を守るために必要な措置を講ずるものとする。
(居住継続のための家賃助成等)
第三十六条 都は、都民が住み慣れた地域での居住を継続できるよう、必要な場合には家賃の助成等を行うものとする。
(財源の確保及び重点的配分)
第三十七条 都は、住みよい住宅の供給、維持及び保全並びに良好な住環境の形成のための施策を総合的、計画的に推進するため、必要な財源の確保及びその重点的な配分に努めるものとする。
(住宅に関する研究開発の促進等)
第三十八条 都は、健康で文化的な住生活を営むに足りる住宅及び住環境に関する研究並びに技術開発等を促進するとともに、その成果の普及を図るものとする。
(住宅に関する情報の提供等)
第三十九条 都は、低廉な家賃で良質な民間住宅及びその他の住宅に関する情報を都民へ提供するよう努めなければならない。
2 都は、住宅、住環境等に関する都民からの相談に積極的にこたえなければならない。
3 都は、区分所有の集合住宅の管理について、当該管理組合等からの相談に積極的にこたえなければならない。
(災害を受け住宅を失った都民等への支援)
第四十条 都は、災害を受け住宅を失った都民に対して、都が供給する公共住宅への優先入居を認め、又は、被災者が当該住宅の補修及び新たに住宅の建設・購入を行う場合は、低利の資金の融資その他の援助を行うものとする。
第四章 東京都住宅白書の作成及び東京都住宅マスタープランの策定等
(東京都住宅白書の作成等)
第四十一条 都は、都民の住宅等に関する要求並びに東京における住宅及び住生活の実態、住環境の状況を把握するため、必要な調査を定期的に行わなければならない。
2 前項の規定による調査は、公営及び
民間賃貸住宅居住者や住民団体など都民の協力と参加を得て行うものとする。
3 都は、前二項の規定に基づき調査、分析した内容について、東京都住宅白書を作成し、議会に報告するとともに都民に公表するものとする。
(東京都住宅マスタープランの策定)
第四十二条 知事は、居住及び住環境等の水準の向上を図り、第三章に基づく施策を地域の特性を生かしながら総合的に推進するために、住宅及び住生活並びに住環境整備にかかわる東京都住宅マスタープラン(都の区域における住宅、住生活、住環境にかかわる対策を総合的、計画的に推進するための基本となる計画をいう。以下同じ。)を策定する。
2 前項の規定による東京都住宅マスタープランにおいては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 都が自ら建設又は関与して建設する住宅の供給に関する目標と計画
二 公共住宅及び民間住宅の供給に関する目標と方針
三 地域別の住宅及び住宅用地の供給の目標と計画
四 居住継続及び高齢者、障害者等の居住の安定向上を図るための施策
五 区市町村の住宅政策に対する支援策
六 その他、第四十四条第一項に定める東京都住宅委員会が必要と認める事項
3 知事は、東京都住宅マスタープランを策定及び変更しようとするときは、議会の同意を得なければならない。
4 知事は、東京都住宅マスタープランを策定及び変更しようとするときは、東京都住宅委員会の審議を経なければならない。
5 知事は、東京都住宅マスタープランを策定又は変更しようとするときは、区市町村が定める住宅マスタープランを尊重し、意見を聴くとともに、都が行うべき支援などについて明らかにしなければならない。
6 東京都住宅マスタープランは、定期的に見直しを行うものとする。
(
区市町村住宅マスタープラン策定に対する支援)
第四十三条 都は、区市町村が住宅マスタープランを定めようとするときは、当該区市町村に対し、必要な情報の提供や財政等の支援を行わなければならない。
第五章 住民参加
(東京都住宅委員会の設置)
第四十四条 都は、住宅政策の重要事項を検討し、都民及び都内に勤務する者等の意見を施策に反映させるために、東京都住宅委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会は、住宅及び住生活、住環境にかかわる問題について検討し、必要な提言を行うとともに、知事の諮間にこたえるものとする。
3 知事は、第四条の規定による指針を定める場合、委員会の審議に付さなければならない。
4 委員会は、都における住宅及び住環境についての具体的基準について、これを知事に提言することができる。
5 知事は、都営住宅及び都立住宅の家賃の改定に当たっては、委員会の意見を聴き、これを尊重しなければならない。
6 委員会は、東京都住宅マスタープラン等重要な事項を審議するときは、公聴会などを開催し、広く都民の声を聴かなければならない。
7 委員会の構成は、都民の声が十分反映できるものとし、次に掲げる者につき、知事が任命する委員三十人以内をもって組織する。
一 学識経験を有する者 七人以内
二 東京都議会議員 七人以内
三 区市町村の代表 六人以内
四 住民等代表(都営、公社、公団など公共住
宅の代表、民間借家・借間人の代表、消費者
団体及び労働者団体の代表等) 十人以内
8 委員の任期は、二年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任の期間とする。ただし、再任を妨げない。
9 委員会は、公開を原則とする。
(住民との協議)
第四十五条 都は、住宅及び住環境にかかわる問題について、都民等と協議するよう努めなければならない。
(住宅に関する情報の提供等)
第四十六条 都は、第四十一条で定めた調査の結果及び都が行い又は行おうとする施策等に関する情報を都民に提供しなければならない。
2 都は、住宅及び住生活、住環境に関する知識の普及と啓発、教育に努めなければならない。
第六章 住宅に関する都民の苦情の調整等
(住宅苦情調整委員の設置)
第四十七条 住宅についての都の行政に係る都民の苦情を調整し、都民の健康で文化的な住生活を営む権利を擁護するため、東京都住宅苦情調整委員(以下「委員」という。)を置く。
2 委員は、五人以内とし、人格が高潔で、地方行政、住宅、法律等に関し優れた識見を有する者のうちから知事が議会の同意を得て委嘱する。
3 委員の任期は、二年とする。ただし、再任を妨げない。
(職務の執行)
第四十八条 委員は、都民の健康で文化的な住生活を営む権利を擁護するため、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。
2 委員は、それぞれ独立してその職務を行う。
(秘密を守る義務)
第四十九条 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
(苦情の申立て)
第五十条 何人も、別に定める規則の手続及び方法により、委員に対し、自己の利害にかかわる都の住宅行政について苦情を申立てることができる。ただし、次に掲げる事項は除く。
一 現に裁判所において係争中の事項及び既に裁判所において判決等のあった事項
二 現に行政不服審査法の規定による不服申立てを行っている事項及び不服申立てに対する裁決又は決定を経て確定している事項
(知事に対する申立て)
第五十一条 都民は、前条の規定にかかわらず、知事に対し、直接、住宅に関する申立てを行うことができる。
(調査・審査)
第五十二条 委員は、第五十条の規定による申立てを受けたときは、知事に対し、当該苦情に関係する書類の提出及び事情の説明を求めるなど必要な調査をすることができる。
2 委員は、前項の規定により調査を行うときは、その旨を知事に通知しなければならない。
3 知事は、委員が行う調査に積極的に協力しなければならない。
4 委員は、第一項の調査に基づき、申立ての内容の適否について審査しなければならない。
(是正を求める意見の表明)
第五十三条 委員は、前条の規定による調査及び審査の結果、申立てに理由があると認めるときは、知事に対し、住宅行政の是正を求める意見を表明するとともに、その旨を申立人に通知しなければならない。
2 委員は、申立てに理由がないと認めるときは、その旨を申立人に通知しなければならない。
(制度の改善を求める意見の表明)
第五十四条 委員は、申立てに係る苦情の原因が都の住宅行政の制度又は政策に起因し、その改善が必要と判断したときは、知事に対し、当該制度又は政策の改善を求める意見を表明することができる。
2 前項の規定による意見の表明は、第四十八条第二項の規定にかかわらず、委員の合議によらなければならない。
(誠実対応の責務)
第五十五条 知事は、委員から第五十三条又は第五十四条の規定による意見の表明を受けたときは、これを尊重し、誠実に対応しなければならない。
(是正措置)
第五十六条 知事は、第五十三条の規定による意見の表明を受けたときは、必要な是正措置を講ずるとともに、その内容を委員に報告しなければならない。ただし、是正措置を講ずることができない特別の理由があるときは、理由を付してその旨を委員に報告するとともに、申立人に通知しなければならない。
(制度の改善)
第五十七条 知事は、第五十四条の規定による意見の表明を受けた場合において、住宅の制度を改善することができるときはその旨を、改善することができないときは理由を付してその旨を委員に報告しなければならない。
2 知事は、前項の制度について具体的な改善を行ったときは、その内容を速やかに委員に報告しなければならない。
(報告、公表)
第五十八条 委員は、その権限に属する調査等について、毎年、規則で定めるところにより、知事及び議会に対して報告するとともに、これを公表するものとする。
第七章 雑則
(指導・勧告及び公表)
第五十九条 知事は、第十四条、第十七条、第二十条及び第三十一条に基づく協力の要請又は指導に対して、応じず又は従わない者があるときは、その者に対して、協力の要請に応じるよう又は指導に従うよう勧告するものとする。
2 前項の勧告に従わないときは、知事は、当該事業者名を公表する等の措置をとることができる。
(委任)
第六十条 この条例の施行について必要な事項については、知事が定める。
附 則
1 この条例の施行期日は、知事が定める。
2 次に掲げる条例は、廃止する。
一 東京都住宅対策審議会条例(昭和四十一年東京都条例第四十四号)
二 東京都住宅建設条例(昭和四十一年東京都条例第百四十四号)
3 第五十条の規定による苦情の申立ては、この条例の施行の日以前にあった事実にかかわる苦情についても適用する。
4 この条例の施行の際、現に存在する東京都住宅マスタープランは、第四十二条の規定に従って速やかに再検討するものとする。
(提案理由)
都民の住宅難を解消し、安心して住み続けられる東京をつくるため、健康で文化的な住生活を営む都民の権利を確認するとともに、それを保障する都の責務及び施策の基本等を改める必要がある。
─────────────
◯大沢委員長 本修正案を、本案とあわせて議題といたします。
提出者の説明を求めます。
◯西田委員 第百三十七号議案、東京都
住宅基本条例に対する修正案の提案理由を述べさせていただきます。
我が党は、東京一極集中がもたらした住宅難、住環境の悪化、コミュニティの破壊など深刻な事態が広がる中で、都がこの都民の苦しみを解決するために、真に実効ある
住宅基本条例を制定すること、そして、そこに盛り込むべき内容についても、定例会、本会議等で提案してきたところであります。
我が党は、条例が真に実効あるものとなるためには、検討の段階から住民参加を保障し、住民の合意をつくり上げていく努力が大事だと考えるものであります。しかし、残念ながら、この条例案の検討過程では住民参加での都民的検討は全くなく、住宅施策に関する唯一の住民参加の機関である住宅対策審議会にすら諮ることなく、庁内の一部の作業スタッフによって短期間に作成されたものであります。
したがって、都民の声を都政に反映させる役割のある都議会で、せめて公聴会ないしは聴聞会を開いて都民の声を聞き、十分に時間をかけ慎重に審議すべきと提案をいたしましたが、三大会派の反対により取り入れられなかったことは、ご承知のとおりであります。しかも、原案の審議の過程では、都民の切望する都民の居住に関する基本的な権利の確認さえ意味のないこととされました。条例の命ともいうべき住民参加についても、作成過程ばかりではなく、住宅対策審議会に構成員として参加していた住民代表が新しい審議会から排除されるなど、住民参加を後退させるものであることが明らかになりました。
我が党は、こうした条例案の作成過程や審議の経過から、このままこれを認めるわけにはいかないと判断し、都民の住宅難を解消し、安心して住み続けられる東京をつくるため、すべての都民が健康で文化的な住生活を営む都民の権利を有することを明記するとともに、それを保障する都の責務及び施策の基本等を改めるため、修正案を提案したものであります。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
◯大沢委員長 説明は終わりました。
これより討論を行います。
討論の通告がありますので、順次発言を許します。
◯山崎委員 私は、自由民主党を代表し、本委員会に付託された知事提案にかかわる全議案に賛成し、日本共産党提出の
住宅基本条例に対する修正案に反対の立場から討論を行います。
住宅基本条例は、
住宅政策懇談会報告を受けた住宅行政の総合行政への転換を示す法体系であり、これはまた一つの到達点であると同時に、住宅行政の新たな出発点でもあります。
この条例案は、一、都道府県で初めての基本条例であり、
マイタウン東京構想に掲げられた地域からの発想の重視、基本的人権の尊重及び社会的公正の実現という理念を条例で位置づけていること。二、まちづくりとの連動や福祉との連携など、関連分野を含めた総合的な視点に立った住宅に関する施策の体系が明確にされていること。三、区市町村の住宅政策に対する各種支援措置の方向が明らかにされていること。四、公共住宅の入居管理の適正化に積極的に取り組む姿勢を表明していること。五、
住宅政策審議会を新たに設置し、まちづくりの視点を取り入れながら、幅広い分野における総合的かつ専門的な論議を行うこととしているなど、我が党が従来から主張してきた内容が適切に盛り込まれており、本条例に賛成するものであります。
一方、日本共産党から提出された修正案については、まず、実定法上の概念として、成熟度に欠ける居住権保障の考え方に立脚しており、しかも、その権利の内容が具体的に明確にされておらず、実効性に欠けるものである。
また、修正案の苦情処理委員は、地方自治法等の根拠を持たない行政委員会の性格を帯び、法律違反の疑いがある。
さらに、事業者からの開発協力金の徴収に関する規定は、地方自治法の分担金としての合理的な根拠に欠け、経済的自由を不当に制限しようとするものである。
以上の立場から、日本共産党提案に係る修正案に反対するものである。
以上、討論を終わります。
◯坂口委員 社会党・都民会議は、第百三十七号議案、東京都
住宅基本条例知事原案に賛成し、日本共産党提案の同条例修正案に反対の立場から討論を行います。
私たち社会党・都民会議都議団は、昨年来、
住宅基本条例の早期制定を求めるとともに、独自の条例大綱案を示し、盛り込むべき事項、施策を要望してきました。
知事原案では、基本的人権の尊重や地域からの発想の重視、公的主体の役割の強化を住宅政策の基本的方向として明記し、その上で多様な手法を取り入れた公共住宅の供給促進、住居費負担の適正化や住みかえ促進、住宅附置義務や公共住宅供給を行う区市町村への支援、高齢者や障害者に対する公的住宅の供給促進や家賃補助の充実、良好な民間住宅の供給、入居機会の均等、都民の参加など、私たちの要望がおおむね取り入れられたものとして、原案に賛成するものです。
一方、日本共産党提案の修正案については、一部に宣言法である東京都
住宅基本条例と共通する事項が見られるものの、基本的には実定法上の規定を設けた修正案でありますが、実定法として条例を定めるのであれば、修正案には多くの矛盾点が見受けられます。例えば、同修正案は、居住権保障の考え方に立っておりますが、居住権の権利内容が具体的に明記されておらず、現実性、実効性を欠くものです。
また、事業者に対する開発協力金の徴収に関する規定は、その法的な根拠も含めて、今後十分検討すべき課題であります。
さらに付言すれば、いわゆる都立住宅を建設することをみずからに義務づけておきながら、財源的な裏づけが見受けられませんが、地方自治法二百二十二条によれば、議員提案によるものであっても、長と調整を図り、財政上の見通しを立てなければならないものとされています。
以上のような点を含め、この修正案は、現下の法制度に照らし合わせてみても、現実性、実効性を欠き、違法性の疑いの強いものを内包しているといわざるを得ません。よって、社会党・都民会議は、日本共産党提案の修正案に対して反対するものです。
以上で討論を終わります。
◯中山委員 私は、
都議会公明党を代表して、全議案に賛成し、東京都
住宅基本条例に対する日本共産党の修正案に反対する立場から討論を行います。
今回提案された
住宅基本条例については、昨年九月に我が党が知事に提出した
住宅基本条例大綱案を大幅に反映しており、都の住宅政策の新たな前進が図られるものとして、その制定に心から賛意を表するものであります。
一方、共産党の修正案は、例えば新たに提案した都立住宅等の施策に明確な財源的裏づけがなく、その実効性が確保できないばかりか、地方自治法の趣旨にも反していること、また、公共住宅の比率の計画的な拡大を、国の機関である住宅・都市整備公団にまで求めており、明らかに都の権限を逸脱している。
以上の点でも明らかなように、条例制定に当たっては、まず、条例の守備範囲、国の法令に抵触しないかについて十分に検討すべきであるが、共産党の修正案は、このような法的問題が十分に検討されているとはいえない。また、条例の実効性も確保されておらず、条例の信頼性を著しく損なうものであり、反対するものである。
以上です。
◯西田委員 第百三十七号議案、東京都
住宅基本条例案に反対し、我が党提案の修正案に賛成する立場から意見を述べるものであります。
今日、東京は、業務機能を中心とした諸機能の一極集中の結果、都民の居住そのものが脅かされるなど、深刻な住宅問題を抱えている中で、
住宅基本条例を制定しようとすることは、都民の住宅難解消の願いにこたえるために必要なことはいうまでもなく、今後の都の住宅政策の基本にかかわる重要な問題であります。それだけに、その作成、検討の過程にあっては、条例を実効あるものにするためにも、住民参加による都民的な検討を十分に時間をかけて行う必要があります。
ところが、今回提案された条例案は、庁内にプロジェクトチームが結成されてからわずか四ヵ月、アドバイザリィグループというわずか四名の検討機関と庁内の一部の作業スタッフで作成され、住宅対策審議会の審議を初め、都民的な検討は全く行われなかったのであります。都民や住民団体から公聴会の開催と慎重な審議を行うことが求められていますが、この経過を見れば、極めて当然のことであります。
我が党は、よりよい条例を制定するためにも、この都民の要望にこたえるためにも、当委員会が公聴会ないしは聴聞会を開き、慎重に審議することを求めましたが、早期制定等を理由に、自民、社会、公明の各委員の反対で、都民の声を聞く機会を閉ざしたことは、極めて遺憾であります。
提案されている条例案は、内容の上でも、都民が切実に望んでいる基本的な点で重大な問題があることを指摘せざるを得ません。
第一に、都民の居住する権利の明記を避け、憲法がすべての国民に保障している基本的人権の重要な一部として、都民が健康で文化的な住生活を営む権利を有することを確認することすら拒否をしたのであります。
質疑の中で、世田谷区の住宅条例が、区は、すべての区民が良好な住生活を主体的に営むことができる権利を有することを確認しと、憲法で保障された住民に関する基本的権利を確認することを基本理念とし、学者、研究者の間でも高く評価されているにもかかわらず、住宅局は、これを憲法の規定を確認しただけと、その意義を全く認めようとしなかったことは、都の条例案が、基本的人権の尊重とか地域からの発想の重視などといいながら、言葉だけのものになりかねず、都民の期待にもこたえることができないものであることをみずから示したものといわざるを得ません。
また、条例案が、都営住宅などの公共住宅の供給について、新築建設に一言も触れず、都営住宅の言葉さえないなど、都の公共住宅建設、供給の責務をあいまいにし、住宅対策での基本問題での重大な後退があること、公共住宅の家賃への法定限度額の導入や日本一高い東京の地価などの算入で家賃を一層高いものにする応能応益家賃、さらに住宅対策審議会で、構成員である住民代表を新しく設置する
住宅政策審議会から外すなど、認めることのできない重大な問題があります。
我が党は、こうした経過と内容を踏まえて、今求められている都民の住宅難の解消に役立つ条例案の制定のため、修正案を提出したものであります。
修正案の主な内容は、第一に、すべての都民が憲法で保障する基本的人権の重要な部分である健康で文化的な住生活を営む権利を有することを明記し、その立場に立って、住宅政策の展開を図ることを宣言したということであります。
第二に、良質で低廉な公共住宅の大量建設を都の住宅政策の基本に据えることであります。
第三に、公共住宅の家賃は、入居者の負担可能な範囲内で定めることをうたったことであります。社会的な公平を期するためにも、
民間賃貸住宅に住む高齢者、障害者、ひとり親世帯、低所得者等への家賃補助を行うこと。
第四に、住宅地への業務・商業ビルの進出から、住宅と住宅地を保全すること。
第五に、住宅政策の計画、立案及び施策の展開に当たっては、住民参加の保障、住宅に関する苦情処理のため調整委員を設けるなど、住民参加の住宅行政を進めることなど、都民の要望にこたえる内容を盛り込んだものであります。
財源の問題は、臨海副都心建設など大企業奉仕の、都民不在の計画をやめるならば、十分に確保できるものであります。
何とぞ各委員のご賛同を賜りますようお願い申し上げて、発言を終わります。
◯長谷川委員 議案第百三十七号、東京都
住宅基本条例及びその修正案に反対する立場から意見を申し上げます。
百三十七号議案は、東京都の住宅政策の基本的方向を示すものであります。しかし、これは、
住宅政策懇談会答申に基づいて制定された経緯にも明らかなように、東京の住宅問題を真に都民的立場に立って解決するものではありません。それは、居住権の保障の明記を拒否していること、住宅政策への住民参加の否定、居住差別の禁止の不徹底、応能応益性といいつつ、応益性を重視した市場家賃を軸に志向されている家賃制度、民活導入による公営住宅の後景化と、そのもとでの一元化の追求等々の諸点に明白に示されているものであり、反対するものであります。
第二に、また、土地問題や住宅問題を労働者、民衆の立場で解決するものではないところの土地基本法や大都市法、さらに都における第三次長計、住宅マスタープラン等々との関連の中にこの
住宅基本条例はあります。その根本的な制度的あり方において反対をするものであり、その意味で修正案にも反対をいたします。
◯大沢委員長 以上をもって討論を終了いたしました。
これより採決を行います。
初めに、第百三十七号議案を採決いたします。
まず、西田委員から提出された修正案について、起立により採決いたします。
本修正案に賛成の方はご起立を願います。
〔賛成者起立〕
◯大沢委員長 起立少数と認めます。よって、修正案は否決されました。
次に、原案について、起立により採決いたします。
原案のとおり決定することに賛成の方はご起立を願います。
〔賛成者起立〕
◯大沢委員長 起立多数と認めます。よって、第百三十七号議案は原案のとおり決定いたしました。
次に、第百三十九号議案を採決いたします。
本案は、起立により採決いたします。
本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立を願います。
〔賛成者起立〕
◯大沢委員長 起立多数と認めます。よって、第百三十九号議案は原案のとおり決定いたしました。
次に、第百三十八号議案、第百四十号議案及び第百四十一号議案を一括して採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯大沢委員長 異議なしと認めます。よって、第百三十八号議案外二議案は原案のとおり決定いたしました。
以上で付託議案の審査を終わります。
━━━━━━━━━━
◯大沢委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元に配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯大沢委員長 異議なしと認め、さよう決定いたしました。
━━━━━━━━━━
◯大沢委員長 この際、所管局を代表して、港湾局長より発言を求められておりますので、これを許します。
◯藤中港湾局長 お許しをいただき、所管三局を代表いたしまして、一言お礼のごあいさつを申し上げます。
第一回定例会にご提案申し上げました議案につきましては、長時間にわたりましてご熱心にご審議を賜り、また、ただいま付託議案のご決定をいただきまして、まことにありがとうございました。
本日いただきましたご意見並びにご審議の過程で賜りましたご意見、ご要望等につきましては、今後の事業運営に十分反映させてまいる所存でございますので、今後ともよろしくご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
甚だ簡単でございますが、お礼のごあいさつとさせていただきます。
本日はどうもありがとうございました。
◯大沢委員長 発言は終わりました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時九分散会...